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産業競争力会議「日本再興戦略2016」(素案)の概要・中短期工程表を読む

 日本経済再生本部 『第27回 産業競争力会議 配布資料』[リンク先は官邸ホームページ]の中から、概要と中短期工程表の案を読んでみた(2016年5月19日開催)。本当は本文を熟読すべきところであろうが、今日のところは拾い読み。

※以下、「=」記号は「中略」の意味
 概要版(案)(スライド3枚)でエネルギーに関する記述は、以下のとおり:
【冒頭】「構造改革」で、「電力=岩盤規制改革」
【③環境エネルギー制約の克服と投資拡大】で、「省エネ」「再エネ」「資源安全保障」「ネガワット取引市場の創設」「水書社会の実現」
【5.改革のモメンタムの活用】で、「分散型エネルギー=等のプロジェクトを=2020年に向けて実施し=我が国技術力等のショーケース化を図る」

 より詳細な内容が中短期工程表に書かれているので、エネルギーに関する項目と私の着目点を以下に整理する。

※以下「■」印は大見出し、○印は中見出しで、地の文は私の着目点である。

■ 電力システム、ガスシステム及び熱供給システム改革の断行
○電力システム改革
○地域間連系線等の増強を後押しするための環境整備
○ガスシステム改革
○熱供給システム改革
 この辺は、3月頃までの電力システム改革等でさんざん議論した部分なのでコメント省略。

■ 徹底した省エネルギーの推進
○産業部門における省エネの推進
 「民政・業務」部門がここに入っていることに違和感を感じたが、政策ターゲットとして業務と家庭を分けることには合理性があろう。特段の目新しさはないが頑張って欲しいところ。
○民生部門における省エネの推進
 ゼロエネビル、ゼロエネ住宅等々の話。これも着実に頑張っていただければ。
○運輸部門における省エネの推進
 電池と水素。いつも書くように、私は短距離自走車両と停留所充電、高速道路トロリーが合理的だと考えているけれど、専門分野ではないので、まあがんばってください。
○国民運動による省エネ低炭素型商品・サービスのマーケット拡大
 環境省が旗を振っている cool choice

■ 再生可能エネルギーの導入促進
○再生可能エネルギーの導入促進
 系統整備・系統運用広域化・蓄電池・環境アセス迅速化・地熱発電支援など。頑張ってやりましょうね。
○固定価格買取制度の見直し
 FIT改正法が国会審議に入り(衆議院は通過したとか)、運用の詰めに入ってきていて、役所とも議論しているところです。
○系統制約の解消
 「長期方針の策定」「運用ルールの見直し」とあるが、系統増強の費用負担問題は今後も見直しながら速やかな系統強化に取り組んで欲しいところ。
○研究会発の推進
 風力と地熱
○規制制度改革の推進
 環境アセス迅速化、風力のエリア設定、風力の港湾利用円滑化。風力関係者が長年苦労していたところ。
○福島県における再生可能エネルギーの導入拡大
 「福島新エネ社会構想」

■ 新たなエネルギーシステムの構築等
○電力分野の新規参入とCO2排出抑制の両立
 自主的枠組みに対するフォローアップや進捗評価。気候関係NGOからは「自主的取組じゃだめだろ」とさんざん批判されているが、政府としてはこの路線で進めるということでしょう。
○石炭火力等の火力発電に係る環境アセスメントの明確化・迅速化
 これも環境NGOの主張とはぶつかるところ。
○電気料金の抑制
 コメント省略。
○高効率化に向けた技術開発・最新設備の導入・海外への普及促進
 石炭火力・LNG火力の高効率化
 ここまでが「新たなエネルギーシステム」の前半部分。つまり、新たなエネルギーシステムの中身で重視しているのは、「自主的取組」「石炭火力のアセス短縮」「電気料金抑制」「高効率火力」ということになる。これが「新たなエネルギーシステム」でしょうか?
○ITの活用による再エネ・省エネ融合エネルギーシステムや地産地消のエネルギーシステムの構築
 エネマネや需要側資源活用。1990年代前半にアメリカで発展した「需要側資源」概念が、ようやく日本にも導入され始めている。IT等でお化粧して「新たな」と呼んでいるが、発想が20年遅れたことの反省も必要。
○ネガワット取引の普及に向けた取組
 2017年中に市場創設。
○水素社会の実現に向けた技術実装の推進
 私自身は水素社会は来ないと考えています。SOFC頑張れ。

■ 革新的エネルギー・環境技術の研究開発の強化
○革新的エネルギー技術の開発
 次世代デバイス・次世代太陽光・次世代地熱・次世代蓄電池・水素等。どうやら「革新的」と「次世代」がほぼ同義語らしい。
○次世代デバイス・部素材(パワーエレクトロニクス等)
 SiCやGaN。この辺は頑張って欲しい。
○蓄電池
 リチウム二次電池とレドックスフロー。系統用と車載用。

■ 資源価格の低迷下での資源安全保障の強化等
○安定的な資源開発投資の促進
 石油・天然ガス自主開発比率の2030年目標40%、ベースメタルの同目標80%
○海洋資源開発の推進・関連産業の育成
 メタンハイドレート・海底熱水鉱床について目標設定。
○二次資源の確保
 都市鉱山
○石油コンビナートの設備最適化・高付加価値化
 これについては、どういう最適化・高度化が必要なのか、知識がない
○石油・LPガス供給インフラ等のリスク対応力強化
 製油所等・需要家側備蓄など
○産業事故の防止
 製油所事故分析と信頼性向上
○備蓄の機動性向上
 石油製品備蓄増強
○地域における石油・LPガスの安定供給の確保
 過疎地のスタンド消滅対策?
○柔軟なLNG市場の育成発展
 北米からの調達、海外開発への参画等
○流動的なLNG市場の創出とLNG取引ハブの実現
 バーゲニングパワー強化が主眼か?

■ 安全性が確認された原子力発電の活用
 「安全性を全てに優先させ、国民の懸念の解消に全力を挙げる前提の下、=安全性については、原子力規制委員会の専門的な判断に委ね、=適合すると認められた場合には、その判断を尊重し=再稼働を進める。その際、国も全面に建ち、=関係者の理解と協力を得るよう、取り組む。」
 以上が引用。他の項目と明らかに筆致が異なり、「原発再稼働については、原子力規制委員会の判断を尊重し、再稼働に関する関係者の理解と協力を得ることが国の役割です」という意味に読めますね。

■ 日本のエネルギー・循環産業の国際展開の推進
○美しい星への行動(ACE2.0)
 ICEFの継続的な開催、日本の技術の更なる海外展開、温室効果ガス観測衛星打ち上げ、途上国支援の更なる強化。(ほかに2020年度までの国地方の基礎的財政収支黒字化を前提としつつ、、という記述もありますが、できっこないので省略)。
○エネルギーインフラ輸出を通じたエネルギー産業の国際展開の推進
 東南アジア等でマスタープラン作りを支援、省エネ・再エネロードマップ、電力インフラガイドライン、エネルギー管理制度、IGCC等高効率火力発電のFS。
 高効率火力について、とりあえずここにはFSまでしか書いていない。

エネルギー関係の項目は、以上でした(「中短期工程表」79~97ページ)

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