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原子力ムラの孤立?

 以下の文章は、社会的な立ち位置で私の近くにいる人たち、つまり、原子力エネルギー利用は地球上からなくすべきだと考え、再生可能エネルギーの普及拡大に向けて、主に日本国内で活動する方々に向けて書くものです。もちろん、そうでない人に読んでいただいてもまったく差し支えありませんが。

 経産省が4月18日に決定した『エネルギー革新戦略』には、「原子力」という言葉が1回も出てこなかった。これは驚きであると同時に、なるほど、と合点がいくものでもあった。
 この「合点」に先立つ動きとしては、昨年7月にまとめられた『長期エネルギー需給見通し』の2030年見通しがあった。そこでは、電力供給について再エネが22~24%程度、原子力発電が22~20%程度とされていた。
 エネルギー政策や動向に関わっている多くの方は、原子力への賛否の立ち場と関わりなく、この原子力の比率を「2030年見通し」とすることについて相当違和感を感じられたのではないかと思う。確かブルームバーグが8.9%という数字を出していたはずで、10%台前半に到達できれば原子力の未来は明るかったのではないだろうか。

 しかし長期エネルギー需給見通しには「22~20%」と書かれた。『エネルギー革新戦略』に原子力への言及がないことに気付いたとき、真っ先に私が思ったのは「ああ、原子力ムラが孤立したな」という理解である。これが上記の「合点」。

 これはもちろん私の想像だけれど、原子力ムラ以外のエネルギー関係者は、彼らのネジコミに相当嫌気がさしてきていて、もはやまともに取り合う気を失ったのではないか。「原子力発電22~20%」は普通の人にとっては非常識な数字だけれど、それを常識的な数字に落とし込む作業に参加すれば、自分も口や手を出さなければならない。一方満額回答を与えれば「私は知りません」と言える。
 「原子力ムラのおっしゃるとおりに原子力発電22~20%という数字を長期需給見通しに入れました。あとはがんばって実現して下さい。私たちは省エネと再エネで頑張りますから自分たちでやって下さいね。さようなら」これが『エネルギー革新戦略』に原子力が出てこない意味だと私は理解した。
 そこで、はた、と思い出したのが、澤昭裕さんの絶筆の冒頭部分だ。少し長く引用する。

[ここから引用(WEDGE2016年3月号『戦略なき脱原発へ漂流する日本の未来を憂う』)]
 「原子力を殺すのは、原子力ムラ自身である」。これは筆者の偽らざる思いだ。
[中略]
 あなた方が拠って立つ「日本の原子力事業」という大木は、実は虫食いでボロボロになっている。あなた方自身がそれを助長してきてしまったのだ。
[中略]
 この木にはもう向かい風しか吹かない。この木を「安定供給の屋台骨」と考えるのは、もやはあなた方だけだ。本当に大切なら、むしろ、役割が相当限定されていく現実を潔く受け入れた上で、うまく国民に貢献し続ける将来像を考えるべきではないか。
 筆者は、「将来のリスクに備えた安全装置」として、今後も原子力というオプションは我が国として保持し続けるべきだと考えている。しかし、全関係者の思考パターン、政策手段、人材等等をすべて更新するくらいの反省と見直しが、その大前提だ。
[ここまで引用]

 どうお読みになるだろうか?
 私はエネルギー政策を決める非公開情報にはなにも情報源を持たない。上記分析は、公開された、しかもかなり目立つ3つの情報を取り上げて分析しただけだ。(でも逆に、だからこそ結構自信あるんですけどね)

 さて、冒頭に書いた本稿の前提に戻ります。ここからは私からのメッセージです。
 勝利というのは、屈服した相手につばを吐きかけることではないと思います。多分、勝利というのは、目ざとい人が横から出てきて、美味しいところをかっさらっていく。それが勝利だと思います。
 反原発・再エネ拡大の運動を続けてきた皆様には、ぜひ、そのような覚悟を固めていただきたい。これが、本稿を執筆した趣旨であります。

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