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国家戦略室が算出した新エネ発電コストと、望ましい買い取り価格の関係

前回の記事
http://energy-decentral.cocolog-nifty.com/blog/2012/04/43-4ecc.html
に引き続き、他の新エネについて、国家戦略室が算出した新エネ発電コストと、望ましい買い取り価格の関係を検討してみる。方法は前回記事と全く同じで、国家戦略室の原価に関する基礎数値をもとにキャッシュフロー表を作り、IRRを設定して買い取り価格を算出するというものである。

 一つの結果を先に書いてみよう。下記ページにあるコスト等検証委員会の「発電コスト試算シート」
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive02.html
からそれぞれの発電方式の原価(建設費、人件費、修繕費、諸費など)の金額を取り出して計算した結果である。同じ発電方式について2とおりの原価が設定されている場合、「下限ケース」を採用している。

[モデル発電所想定] 洋上風力:15万kW、陸上風力2万kW、地熱:3万kW、メガソーラー1200kW、一般水力1.2万kW、小水力200kW(小水力は前回記事に書いたのと以下は同じ内容)
[原価条件] それぞれについてコスト等検証委員会原価(複数ある場合下限ケース)を使用
[利潤条件] 買い取り価格算定のための適正な利潤を、税前IRR=7%と定めてみた。
[買い取り期間] 20年で統一した。

[算定結果] 買い取り価格(単位は[円/kWh])は、以下のようになった。
 洋上風力:13.55、陸上風力:14.37、地熱16.06、メガソーラー:43.10、一般水力:24.70、小水力28.84

 これを、それぞれの関係団体が主張する「望ましい買い取り価格」と比較してみる。
 一般水力については、4月3日の第4回委員会(本稿執筆時点で資料未公表)において公営電気事業経営者会議が「1000~3000kW級の発電所で、買い取り期間20年、買い取り価格24円/kWh」を主張していた。
 また第3回委員会資料
http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/003_haifu.html
を見ると次のような主張が書かれている。
 メガソーラー(2MW級)について、太陽光発電協会が20年・42円/kWh。
 陸上風力について、風力発電協会が22~25円/kWh。
 地熱について、地熱開発企業協議会が25.8円/kWh。
(本稿では洋上風力の議論は省略)

 ということで、小水力・一般水力・メガソーラーについては調達価格等算定委員会でヒアリングを受けた各団体の主張と、コスト等検証委員会「下限ケース」×税前IRR7%で算出した結果がおおむね一致している。

 一致していない陸上風力と地熱については、次のようなことがいえる。
 まず陸上風力については、コスト等検証委員会「上限ケース」×税前IRR7%×買い取り期間20年で算出すると25.14円/kWhになるので、協会の主張は「下限ケースより上限ケース寄りの算定をすべきである」という意味になる。これはまあ常識的な話しであって、普及拡大を目的とした制度なのだから、下限ではなく上限に近い設定が望ましいというのは理にかなっている(むしろ、小水力の方が「下限で大丈夫?」と聞かれてもおかしくない)。
 ただ、個人的に言うと下限と上限の中間がほどほどではないかという気はする。中間値を採用すると買い取り価格は19.75円/kWhになり、いい線ではないだろうか。

 次に地熱。他団体と異なり地開協は「買い取り期間15年、税前IRR=10%」を主張した。コスト等検証委員会「上限ケース」×税前IRR10%×買い取り期間15年で計算すると、25.95円/kWhとなり、地開協の主張に沿う。
 この条件は、デベロッパーの経営基準という観点から言えば、常識的な主張だろう。ただ、固定価格を電力価格に反映するという制度上、ここまでの条件が受け入れられるかというと、どうか?
 他の新エネと足並みをそろえて、コスト等検証委員会「上限ケース」×税前IRR7%×買い取り期間20年にすると買い取り価格は20.44円/kWhになる。デベロッパーとしては、これではつらいかなぁ。
 「上限ケース」×税前IRR7%×買い取り期間15年で、22.77円/kWh。何となくこの辺かという気がするところ。ただ、FIT制定後3年間は利潤についてとくに配慮するという定めがあったので、最初の3年間は地開協の主張通りでいいのかもしれない。

 以上、「値ごろ感」について、数字をいろいろいじってみました。

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