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国家戦略室が出した発電コストをベースに、FIT買い取り価格を検討する(1)

 『国家戦略室が出した発電コストと、FIT買い取り価格』という記事を(1)から(3)まで書いたが、表計算ソフトを使って算出した値を文章で説明するのはまどろっこしいし、後でチェックしたところいくつかミスも見つかった。
 むしろ表計算のまま公開した方がこちらも楽だし、お読みの方が自分でいじったりチェックしたりすることもできる。そう考えて、稿を改めることにした。
 また、計算方法としては単年度化した概略のキャッシュフロー表を用いる。精緻な議論には事業期間を通じた多年度表を作る必要があるが、概算段階では単年度表の方が便利であるし、両者の差はあまり大きくない。

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 本稿では、小水力・一般水力・メガソーラー・地熱・陸上風力について、国家戦略室が採用したコストをもとに、kWhあたりの年間費用を算出し、利益分とあわせたFIT価格を算出した。右の表がそれである。
 算出表の説明等も記述するが、価格等算定委員会に提出された各団体の要望価格の分析などは別途(2)以降で議論することとしたい。

 まず最初に、計算の元となる発電方式ごとの原価(項目別費用)は、国家戦略室(コスト等検証委員会)が2011年12月に公表した「発電コスト試算シート」である。下記ホームページから、「発電コスト等資産シート」をクリックし、「発電コスト試算シート(まとめシート版)のダウンロードは[こちら]から」からダウンロードしていただきたい。
コスト等検証委員会トップ:http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive02.html

 ここでダウンロードしたExcelシートから、項目別費用(たとえば年間の「人件費」)を抽出し、単年度のキャッシュフロー表に入力した上で、事業期間と税前IRRを設定してFIT価格を算出するためのシート(単年度収支概算表)が下記ファイルである。
「dai1086c.ods」(オープンドキュメント版)をダウンロード
「dai1086c.xls」(エクセル版)をダウンロード

 事業性についての議論をする場合、正確な条件を算出するには多年度の財務諸表が必要であるが、概略検討の段階では単年度収支概算表の方がわかりやすい。設定値をいじった場合に結果がどのように変化するかが掴みやすいからである。しかも、いくつか試算した限りでは多年度表との差は1円/kWh程度以内におさまっている。したがって単年度表で議論を整理した上で、金額決定の最終段階で多年度表をもちいるのがいいと考えている。

 このファイルの「集計表」シート(上の表)には、方式別の積み上げ金額が「建設償却費」「操業費」「支払金利(利益)」に分けて記載されている。
 このうち「建設償却費」「操業費」の合計が、国家戦略室が公表した方式別発電コストに対応するわけだが、計算してみると両者には数円/kWhの隔たりがある。この差が生じた原因は、事業期間が20(15)年・40年と異なること、キャッシュフロー表と割引現在価値の計算方法の差、国家戦略室が建設費について減価償却費を現在価値に割り引いて算出していることが考えられる。
 そしてこの発電コストに「利益」を加算してFIT価格を算出するわけだが、「利益」の算出にあたっては全額を借り入れた場合の「支払金利」を用いている。

 結果の具体的金額についても少々コメントしておこう。
 経産省の「調達価格等算定委員会」(下記リンク)
調達価格等算定委員会の資料ページ:http://www.meti.go.jp/committee/gizi_0000015.html
の第3回、第4回に関連事業団体が要望金額等について資料を提出し口頭説明をしている。
 本稿最初の表に掲載したエネルギー種別のうち、小水力・メガソーラーについては、国家戦略室の「下限ケース」から算出した値が、関係団体の要望とほぼ一致している。また一般水力は、上限・下限の区別がなく、やはり団体要望とほぼ一致。
 一方地熱と風力については、「下限ケース」「上限ケース」の間の値で、しかも上限に近い金額になっている。

 それぞれの団体要望の中身の分析や妥当性の検討は、次回以降に行います。今日はこの辺で。

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