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国家戦略室が出した発電コストと、FIT買い取り価格(3)

 ひきつづき、(3)では太陽光発電(メガソーラー)について、国家戦略室が想定した費用をもとにFIT価格を算出し、太陽光発電協会の要望価格との関係を見てみよう。

○国家戦略室の元データは下記ページの「発電コスト試算シート」
http://www.npu.go.jp/policy/policy09/archive02.html

 国家戦略室の表計算ファイルから「太陽光(メガソーラー)_下限(2010年)」「太陽光(メガソーラー)_上限(2010年)」の想定値を見ると、
・出力:0.12万kW
・設備利用率:12%
・稼働年数:20年
・建設費単価:35(下限)/55(上限)万円/kW
・所内率:0.0%
・固定資産税率:1.4%
・水利利用料:
・人件費:0.03億円/年
・修繕費:1%(建設費における比率)
・諸費:0.6%(同上)
・業務分担費(一般管理費):14.0%(直接費における比率)
となっている。(本計算では廃止費用は無視する)

 ここから建設費を計算すると、
[下限] 0.12万kW×35万円/kW=4.2億円。
[上限] 0.12万kW×55万円/kW=6.6億円。
 次に年間操業費のうち直接費を計算すると、まず下限の場合で人件費300万円、修繕費420万円(4.2億円×1%)、諸費252万円(同×0.6%)で、計972万円。次に業務分担費(一般管理費)がその14%で約136万円。したがって年間操業費は合計1108万円となる。
 一方上限の場合には、人件費300万円、修繕費660万円(6.6億円×1%)、諸費396万円(同×0.6%)で、計1356万円。次に業務分担費(一般管理費)がその14%で約190万円。したがって年間操業費は合計1546万円となる。

 小水力のときと同様、これを1kWhあたりのコストに換算してみよう。年間売電量は0.12万kW×8760×12%=1,261,440kWhとなる。したがって、kWhあたり年間操業費は11587万円÷4711万kWh=12.26円/kWhだ。

 一方建設費は、小水力同様FIT対象事業期間を20年とすると、期間中総発電量は1,261,440kWh×20=25,228,800kWhとなるから、
[下限] 建設費4.2億円を2523万kWhで割って16.65円/kWh、
[上限] 建設費6.6億円を2523万kWhで割って26.16円/kWh
となる。
 ここで、これも小水力のときと同様、利率7%の元利均等返済の金利分(事業利益)を建設費の88.8%として算出すると、[下限] 14.79円/kWh、[上限] 23.23円/kWhとなる。

 以上で算出した操業費、建設償却費、金利(事業利益)合計すると、
[下限] 12.26+16.65+14.79=43.70円/kWh
[上限] 12.26+26.16+23.23=61.65円/kWh
となる。
 調達価格等算定委員会第3回において太陽光発電協会は42円/kWhを要望しており、
http://www.meti.go.jp/committee/chotatsu_kakaku/003_03_00.pdf
この金額は上記下限ケースの算出結果とだいたい一致している。

 太陽光発電協会は税前IRR=6%で計算していたが、算出結果としては国家戦略室想定に税前IRR=7%で計算したものとほぼ同額になったということである。
 なお、太陽光発電の建設費は年々低下しているので、下限ケースの想定を使うのが合理的といえよう。また、まだまだ下がることが見込まれているので、もっと低い金額でいいという主張にも耳を貸すべきだろう。

【付記】
引き続き(4)以降で風力や地熱について同様の検討を行う予定ですが、しばらく執筆できないと思います。計算方法と出典を丁寧に記述したつもりなので、ご関心のある方はご自身で計算してみていただければと思います。もちろん計算方法についても、それぞれのお考えを盛り込んだ形で。

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