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ヨウ素被曝に屋内外の差はない【とは限らないようだ】

【11/03/28 付記】
 私がこれまで見ていた放射能濃度のデータは「大気浮遊塵中」のものであり、ちりに付着したヨウ素のデータであることに気づきました。うかつでした。
 ちりに付着したヨウ素であれば、屋内の被曝量が屋内よりある程度少なくなって不思議はありません。
 とはいえ、気体で拡散する量がゼロとも考えにくいので、ちりに付着して拡散する量との多寡などによって結果は異なってきます。
 とりあえず、以下の内容は「気体として拡散するヨウ素に関する論考」です。タイトルにも【】書きの修正を入れました。
【付記終わり】

 核分裂生成物としてのヨウ素131が原子炉・核燃料から漏洩して拡散する場合、空気中では気化して拡散すると考えられる。そして計測されているヨウ素(たかだか数百ベクレル)濃度では凝固しないと考えられる(「続き」参照)ので、私たちが警戒すべきは気体のヨウ素だと言っていい。
 一方、建築基準法では住宅について毎時0.5回の換気が義務づけられている。
 したがって、ヨウ素被曝について屋内外の差はほとんどないといえる。

 このような政府発表
http://www.nsc.go.jp/info/110323_top_siryo.pdf
中で「連続して一日中屋外で過ごすという保守的な条件を仮定」などと書かれているが、屋内でもほとんど同じことであり「保守的な条件」と言うべきではない。

【続き】

1.換気に関する資料
1-1. 改正建築基準法に基づくシックハウス対策の概要(国土交通省サイトの資料)
http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/build/kensetu.files/030609gaiyouflownew.pdf

2. ヨウ素に関する資料
2-1.ヨウ素の物性(国立医薬品食品衛生研究所サイトの資料)
http://www.nihs.go.jp/ICSC/icssj-c/icss0167c.html
 (国際科学物質安全性カード)
・物理的危険性:昇華しやすい
・蒸気圧:0.04kPa(25℃)
・比重(水=1):4.9
・相対蒸気密度(空気=1):8.8

【検討】
 25℃の空気の密度を1.18kg/m3(理科年表)とすると、相対蒸気密度が8.8であるから、ヨウ素の密度は常圧(約100kPa)で10.4kg/m3となる。(同位体の質量比は数%以内なので無視する)。したがって0.04kPaでは4.16g/m3(10.4×4/10000)。
 ところが、ヨウ素131の重量あたり放射能の数値が見つからないので、別法を使う

 完全気体と仮定して、0℃1気圧で1モルが22.4リットル。25℃だと10%減として、約20リットル。1m3中に50モル。
 ヨウ素の蒸気圧は4/10000気圧なので、飽和蒸気中に50×4/10000=0.02モル存在。
 以前検討した
http://energy-decentral.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-a8ec.html
とおり、1ベクレルのヨウ素がすべて崩壊すると100万カウントのβ線を出すので、100万個のヨウ素原子=50万個のヨウ素分子が1ベクレル中に含まれる。つまり、 5e5÷6.02e23=8.3e-19モルの分子が含まれる。
 よって、飽和蒸気(0.02モル)のヨウ素131は、0.02÷8.3e-19=2.4e16ベクレルとなる。
 以上は理想気体を仮定したが、オーダーからいって1ペタ(1e15)ベクレル以下のオーダーであれば、凝固しないと考えて差し支えないと判断する。

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