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それは風評被害ではない

 物流を支えるドライバーが、福島第一原発から30キロメートル以上離れた地域にも入りたがらないため、物流が滞っているという。
 これを「風評被害」だとする報道があったが、私はそうは考えない。

 労働安全衛生法に基づく電離放射線障害防止規則には、以下のように書かれている。

【引用】
第三条 放射線業務を行う事業の事業者(第六十二条を除き、以下「事業者」という。)は、次の各号のいずれかに該当する区域(以下「管理区域」という。)を標識によつて明示しなければならない。
一 外部放射線による実効線量と空気中の放射性物質による実効線量との合計が三月間につき一・三ミリシーベルトを超えるおそれのある区域
【引用終わり】

 週40時間労働(当該地域に毎週40時間滞在する)計算として、3ヶ月間につき1.3ミリシーベルトと言うことは、2.5μシーベルト毎時以上の地域が該当する。今のところ福島第一原発の状況が顕著に改善される確証はないので、30キロメートル以遠でも一定範囲はこの放射線レベルが下がらないおそれがある。
 したがって、県知事なり首相が実質的に管理区域であることを宣言し、運送会社と協力してドライバーに線量計を持たせ、安全管理を行うべきだろう。

 「風評被害」とか「安全だ、心配いらない」とか、抽象論を振りかざすのではなく、具体的な労働衛生管理を行って初めてドライバーの安全が担保されるのではないだろうか。

【2011/03/23 08:00 追記】
 上記考察はドライバーの労働衛生管理を前提にしたため週40時間換算していますが、住民は常時滞在を前提に、2160時間(24時間×90日)で計算すべきでしょう。1.3ミリシーベルト(1300マイクロシーベルト)を2160時間で割ると、約0.6マイクロシーベルト毎時になります。文部科学省の下記ページに出ている範囲は、現在の数値で言う限り全域を放射線管理区域と考えるべきでしょう。
http://www.mext.go.jp/a_menu/saigaijohou/syousai/1303747.htm
【おわり】

※ 必要な法令は、厚生労働省の法令等データベースサービスで検索できます。
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/html/hourei/contents.html

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コメント

放射性物質の種類は、シーベルトに出ません。

放射線を防除していない状態での単純な計算での危険だという判断であると感じられます。
短期間の強力な放射線で無い場合、外部被曝はそれほど危険なものでしょうか。

安全だとはいいません。
でも、危険でしょうか。

たとえばヨウ素やセシウムは、体内に入って、その被害を加えるのではないでしょうか。
外部被曝の場合、ベータ線はそれほど強い貫通力を持ちません。

プルトニウムも強い放射線を持ちますが、貫通力は全くありません。

放射線量科と許容放射線量は、分けて考えるべきだと思いました。

投稿: p | 2011.03.30 02:43

あ、すいません。
ドライバーに関してです。

風評被害は別に置いて考えてみました。

投稿: p | 2011.03.30 02:45

pさん

 コメントどうもありがとうございます。

 原発の直近ではない地域、ドライバー等一時滞在する労働者という前提で、(普通の)マスクをし、域内で飲食しないと考えて、大気中のヨウ素を吸入することによる内部被曝を想定して書いています。
 管理区域をどこまでに定めるかを具体的に検討する際には、おっしゃるように大気中放射能濃度等、内部被曝に関わる計測も当然必要でしょうが、本稿はその具体的内容に言及するものではなく、定性的に必要性を書いたものです。
 ポケット線量計でどこまで測れるかについては、放射性物質の種類等々を計測した上で、通常の管理区域と同様に、その場所の基準を定めればいいと思います。

 的確なご指摘、ありがとうございました。

投稿: dai(本人) | 2011.03.30 07:29

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