« ベクレルとシーベルトの換算 | トップページ | 危険性の判断に使うデータと目安 »

東京都による放射性物質計測データ

東京都も計測データを公表していることを知りました。
http://www.sangyo-rodo.metro.tokyo.jp/whats-new/measurement.html

 以下、とりあえずヨウ素131について簡単に分析します。
 それ以外の核種や国内の許容量基準については、今後調べたときに随時書き加える予定です。

(以下、放射能濃度の単位はBq/m3=μBq/cm3)

 ヨウ素131に関して言うと、15日10時台に241と大きな値が出ており、その前後も高くなっています。
 また、16日早朝にも最大22という値になっています。
 本日午前中にも15.6というピークが出ています。

【2011/03/21 17:02 追記】
 友人のブログ
http://hmatsuba.air-nifty.com/sustainable/2011/03/5-d44d.html
によると、15日0時頃にドライベント(水を通さない緊急の圧抜き)が行われたということなので、それが10時間ほどかかって東京に到達したと考えられます。時速22キロメートルほど、秒速6メートルという計算になります。
【追記終わり】

【2011/03/21 19:50 追記+20:50修正】
(単位が混乱していました。結果は変わりませんが、1,000μBq/cm3または1,000Bq/m3です。直した部分に※をつけます)
 やっと日本政府の規制値にたどり着きました。ただし、一般公衆ではなく労働者を対象としたものです。
 労働安全衛生法>電離放射線障害防止規則>電離放射線障害防止規則第三条第三項並びに第八条第五項及び第九条第二項の規定に基づく厚生労働大臣が定める限度及び方法(平成13年厚生労働大臣告示第91号で全面改正)
です。厚生労働省の法令等データベースサービスから検索することができます。
http://wwwhourei.mhlw.go.jp/hourei/html/hourei/contents.html
 まず、この表には、ヨウ素131の蒸気について、限度量1,000μBq/cm3※ に相当する値が書かれています。(吸入摂取した場合の実効線量係数は2×10-5mSv/Bqとしています)
 で、週40時間労働換算で週平均濃度を算出し、さらにそれを三月平均した値について、この限度量の10分の1を越える区域は管理区域とするよう、電離放射線障害防止規則第三条で定めています(というふうに読めます)。管理区域内の基準は複雑なので、ここでは管理区域内外の境界を定めたこの値を目安にしましょう。つまり、労働者(生活者より受忍限度が高い)が、週40時間立ち入る場所について、管理しなくていい場所の上限を定めた値です。
 これが表の値の10分の1、つまり100μBq/cm3※だというのですが、これは週40時間滞在する場合ですから、常時滞在する(7日×24時間=168時間)場所では、この0.238倍(40÷168)、つまり23.8μBq/cm3(23.8Bq/m3)※が目安になるはずです。
 これをもとに上記東京都の計測値を見ると、15日以外は目安を下回っていることになります。ただしあくまでも労働者の基準です。
 一方、15日は目安のほぼ10倍の値になります。
 とはいえ、三ヶ月間ずっとそこにいることが前提の「環境放射能濃度」の話しですから、一時的に滞在(向こうから来るんですけどね)する場合は、少し話しが変わってきます。

 ということで、日本の労働安全基準に照らして考えると、東京の場合、福島第一が現状で安定しているときに風下になると、労働者が普通の服装で管理されずに入れる場所のぎりぎりくらいの場所に滞在するのと同程度と考えられます。これだったら乳幼児であっても、無理して避難する必要はないように思います。
 一方、ドライベントを行ったり状況が悪化した場合には、線量バッチをつけずに管理区域に迷い込んだ状況になる、といったところでしょうか。こういう事態が予測されるのであれば、あらかじめ避難するのも合理的判断と思います。
【追記終わり】

 知人が教えてくれた G.Friedlander et al."Nuclear and radiochemistry"3rd ed. p.240 によると、ヨウ素131の許容量は、一般環境では空気1mlあたり10のマイナス16乗キューリー(3.7μBq/cm3)、放射線管理区域でこの100倍(370μBq/cm3)ということなので、上記計測値は一般環境の基準を超え、放射線管理区域並みの状態だったことになります。
 放射線管理区域は普通に人が作業する場所(ただし線量バッチをつける)なので短時間で危険ということはありませんが、一般人が日常生活でその環境にさらされるのは好ましくないと言っていいでしょう。

 なお、つくば市のデータ
http://energy-decentral.cocolog-nifty.com/blog/2011/03/post-3581.html
と比べてセシウムの量が多いようです。この辺は要検討。

 福島第二原発の放射性漏出状況はまだまだ大きく好転はしない可能性が高いので、風下になる都度、同様の状況になる可能性があります。
 心配な方は避難する方がよいと考えます。

|

« ベクレルとシーベルトの換算 | トップページ | 危険性の判断に使うデータと目安 »

コメント

初めまして。私は、埼玉県(上尾)在住の3人の子どもの母です。色々と調べていましたら、こちらのブログに着きました。とても良い勉強になりました。

 原発事故以来、不安で夜も眠れない状況です。娘の小学校では、14日から平常どうりで、危機感はゼロです。
余震が続き給食がストップしても、弁当持参で、短縮も無し。
(中学校では早帰りにしているのに)

心配で迎えに行くと、校庭では、上級生が元気に体育をしていました。放射性物質の濃度が高かった時間です。登下校時にマスクをしている子も、ほとんどいません。
 不安を感じている保護者もいますが、少数のようです。皆テレビの「安全」宣言を信じているのでしょうか?
調べるほどに、現実が恐ろしくなります。

 現場で命がけで作業されている方たちに、本当に申し訳なく、1日も早い事態の復旧を祈るばかりです。

あと少しで、春休み。明日は、学年レクでスポーツ大会をするそうです。担任に確認すると、まさかの校庭でやる。
 
拡散シュミレーションを見る限り、正気の沙汰とは思えない。
子どもたちの安全を第1に考えて欲しいと頼むと、「自分の一存で決められないから、明日の朝話し合ってみるが、体育舘は使えないと思う。心配ならお宅の子だけ見学させますか?」との答え。

 雨はまだ止みそうにありません。
 何と言われても、自分の子どもは、自分で守るしかないんだなと思いました。
 明日は休ませようかと、真剣に考えてます。
親の判断で登校させてない人は、どれくらいいるのでしょうか?

 

投稿: tomato | 2011.03.22 02:40

tomatoさん

 コメントありがとうございます。ご心配もよくわかります。
 お子さんの健康を心配するなら、スポーツレクは中止するくらいの決断力を学校には持ってほしいですね。

 ただ、15日のデータでは、福島原発の放射能が東京(埼玉も大差ないでしょう)に到達するのに10時間かかっています。幸い今日は風が弱いので、万一福島原発が大量の放射性物質を放出することがあっても、学校に到達するまで10時間以上かかるはずです。
 現在の状況のままであればお子さんが屋外で活動しても心配ありませんから、ニュースに注意して、福島原発で大きな問題が生じてから速やかに避難すれば充分間に合います。

 東京都が観測したデータで安全でない数値が出ているのですから、東京都教育委員会も考えるべきですよね。
 おっと、埼玉県でしたか。
 東京の15日10-11時のデータを示し「これは放射線管理区域の基準に達しているのではないのか」と教育委員会に苦情を言うのも適切だと思います。

投稿: dai(本人) | 2011.03.22 06:53

はじめまして。東京都在住の2児の母です。

ブログ読ませていただきました。私も事故以来子どもへの影響が心配でたまりません。東京都のHPや文部省の放射線測定結果や降下物の放射能測定調査を毎日何度もチェックする日々です。

今朝文部省のHPを見ていましたら、月曜日朝から火曜日朝にかけて、一キロ平方メートルあたり32000メガベクトルのヨウ素、5300メガベクトルのセシウムが検出されていて、よくはわからないのですが、数値にびっくりしてしまいました。

あわててニュースを見てみると、朝日新聞のニュースでは、セシウムの値は「放射線管理区域の基準値4万ベクレルの8分の1、ヨウ素の値は、5分の4にあたる」と書いてありました。でも、すごく大変なことはわかるのですが、子どもの体にどれだけ悪いのかが、頭が回らなくてわかりません。どうか、ご教示いただけませんでしょうか。

子どもの小学校では、登下校はマスク着用、できるだけ校舎内で過ごさせてくれているようです。それでも、基準値の8分の1、5分の4(ほとんど1に近いのでは)の値が出ているのに、通学させてよいものか、外出してもよいのか本当に悩みます。

投稿: mayurin | 2011.03.23 05:55

mayurinさん
 ご心配、とてもよくわかります。
 北~北東の風がしばらくつづいていて、ある程度の量の放射性物質(放射能)が飛来し続けているようです。
 管理区域の基準値より下と言うことは、普通の人がうろうろしていて大丈夫ということです。妊婦や乳幼児はもう少し敏感に考えた方がいいでしょうが、小学生なら問題ないと思います。

 とはいえ、不要な外出を避けるとか、外出着について花粉症対策と同程度の注意を払うのはよいことです。

 春休みはいつからですか?今の水準なら春休みまで通学しても大丈夫だと思いますので、学校が終わってから少し長めの家族旅行にでかけてはいかがでしょう?
 毎日心配しながら東京で暮らすより、温泉にでも入ってのんびりなさることをお勧めします。

投稿: dai(本人) | 2011.03.23 07:00

お返事ありがとうございます。
わかりやすく教えていただいて感謝しております。
ベクトルはベクレルの間違いでした。失礼しました。
またブログ読ませていただきますね。
ありがとうございました。
(本日、東京では水道水からも・・・)

投稿: mayurin | 2011.03.23 21:37

お返事ありがとうございました。
とりあえず、落ち着いて、今後の対応を考えています。
今、必用なことは、学校へお願いにいくための資料作りと、正しい知識の拡散ではないかと思います。
20年後に後悔するよりも、今できる事をします。

投稿: tomato | 2011.04.10 10:58

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/35133/51180083

この記事へのトラックバック一覧です: 東京都による放射性物質計測データ:

« ベクレルとシーベルトの換算 | トップページ | 危険性の判断に使うデータと目安 »