« 今月の自然エネルギー発電焚き減らし効果[2008/06] | トップページ | 経団連官僚の洞爺湖サミットへのコメントへのコメント »

CO2排出量基準は一人あたりが合理的

 来年12月にデンマークで開催されるCOP15に向け、排出量基準が盛んに議論されている。京都で、とりあえず90年比で削減目標を定めたことから、今のところ「○○年比△△%」といった数字が飛び交っている。
 日本に関して言えば「90年を基準年にしたため欧州が有利に、日本が不利になった」という議論があり、基準年をどうするかが交渉課題のように語る人もいる。

 しかし、「○○年比△△%」という方式は、京都でともかく合意を作るためにとりあえず決められた手法であって、必ずしもこの方式に論理的優位性があるわけではない。
 とくに長期的議論、たとえば2050年を議論する際には、この方式はダメだと言って過言ではなかろう。この方式はデルタであって、リープではないからだ。人類が今必要としているのはリープであり、だからこそ2050年をまず議論して目標を定めてからバックキャスティングするという論理構造で議論している。「○○年比」というデルタ型の目標設定は効果を上げないだろう。

 このような考え方の下で合理的な基準の一つが「一人あたり排出量」である。

 最近一人あたり排出量基準で2050年に向けた合理的な目標設定について検討を始めたので、近々に本ブログで提案したいと考えているが、まずは現状の一人あたり排出量を 見ることで国別の「責任」の意味を考えたいと思う。
 次の2つの図を見ていただきたい。

図1 国別一人あたりCO2排出量(pdfファイル)
出所: EDMC/エネルギー・経済統計要覧2008年版から作成

図2 国別CO2排出量(pdfファイル)
出所: EDMC/エネルギー・経済統計要覧2008年版から、全国温暖化防止活動推進センタ-が「すぐ使える図表集」として作成、公表(http://www.jccca.org/index.php)

 一人あたり排出量を基本的な基準と考えるが、排出量の規制は国単位で行なうことから、国ごとの総排出量も主要な指標の一つとすべきだろう。一人あたり基準だけで考えた場合には、アラブ諸国がおそらくアメリカ以上の排出量になっているだろうことを、備忘のために書き留めておく。
 さて、この2つの図をもとに、今後の国際交渉における各国の責任について、次のように考えてみた。

(1) 例外的に責任の重い国
 誰もが知っている、あるいは少なくとも薄々感じているだろうことだが、アメリカ合衆国は例外的に重い責任を負っている。この国をどうするかが人類にとって大きな課題であることは疑いを入れない。
 また、カナダ・オーストラリアも、人口が少ないから送料が少なくなっているが、一人あたりでアメリカ並みの排出量であることの責任を感じるべきである。

(2) (1)をのぞいて最も責任の重い国
 「普通の国」として最も責任が重いのは、日本・ロシア・ドイツ・イギリス・韓国・イタリアといった国々である(一人あたりでフランスが少ないのはなぜだろう?(※))。これらの国がどれだけの約束をするかが、国際交渉の第一のカギとなろう。

(3) 一人あたりでは少ないが人口が多いために排出総量が多い国
 中国・インドの責任をどう考えるか、ということになる。
 このうちインドは、国単位では日本に匹敵する大量排出国になったものの、一人あたりでは日本の約10分の1であり、当面、数量的義務を課すのは酷だと言えよう。
 これに対して中国は、すでに一人あたりで日本の2分の1を排出している。具体的計算は今後行なうが、2050年の人類全体の目標値を90年の1/2といったあたりに定めた場合、中国の現在の排出量は、おおむね2050年の中国の目標値になるだろうと予想される。今すぐ「これ以上増やさない」という目標設定はできないと思うが、今後一定期間増加したとしても、その後増えた分を削減し、2050年には現状レベル、といった路線に沿って何らかの目標を課せられるべきだろう。

 ということで、一人あたり排出量基準にもとづく国別基準のあり方について、来年のCOP15に向け、これから自分なりに考えてみたい。

(※) 後日追記(08-07-07 07:58)
 フランスは、電力の確か8割くらいが原発でしたね。多分そのせいです。

|

« 今月の自然エネルギー発電焚き減らし効果[2008/06] | トップページ | 経団連官僚の洞爺湖サミットへのコメントへのコメント »

コメント

国別よりは余程、公平で公正でしょうね。内国排出権取引に関してもまず国民一人一人に公平に割り振ってそこから企業が買うということにしたらどんなもんでしょうかね・・・。

投稿: お日様大好き | 2008.07.11 15:11

お日様大好きさん

 排出量取引は、原理的にはそこにいきつくのだそうですよ。排出枠を通貨にするという話し(ものを買う際、製造時のCO2排出量分の排出枠で購入する)すらあるようで。

投稿: dai(ブログ管理人です) | 2008.07.11 23:41

でも、連中は既得権から話を始める。貧乏人や権力を持たないもには彼らにとっては収奪の対象。家庭用太陽光発電という個人事業者はそういう扱い。RPSって買い叩きに道具にされたし、その残りかすで商売しようとした連中が居たし、大きな顔をしてる。お札販売するならまともな理屈付けぐらいはしておけ。恥を知れという事だと思いますね。

投稿: お日様だいすき | 2008.07.16 08:52

洞爺湖サミットについてのテレビのニュースを見て、
国別だけでなく、国民一人当たりのCO2排出量も、明らかに示して、報道すべきと、強く思いました。

投稿: 鴻 章子 | 2008.07.17 11:09

鴻章子さん
 コメントありがとうございます。
 多くの人がインドと中国を一緒に括って議論していますが、中国政府は大喜びでしょうね。中国はすでに1人あたりで上限いっぱい一杯排出しており、本来であればこれ以上増やせないけれど、インドのように中国の5分の1しか排出していない国と同じ扱いを受けるわけですから。
 どうしてそういうことを考えないのでしょうねえ。

投稿: dai | 2008.07.17 12:00

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/35133/41756292

この記事へのトラックバック一覧です: CO2排出量基準は一人あたりが合理的:

« 今月の自然エネルギー発電焚き減らし効果[2008/06] | トップページ | 経団連官僚の洞爺湖サミットへのコメントへのコメント »